こんばんは、ブルです。
HSPという言葉は広く認知されてきましたが、HSCがあまり浸透していないのは、子ども時代に自らが特異な気質を持っていることへの自覚がないからでしょう。
子どもは自分が周りと違うというのを認めたくないものです。
私も子ども時代にHSPという言葉を知っていたとしても、きっと自分には当てはまらないだろうと目を背けていたと思います。
HSC(ハイリ―・センシティブ・チャイルド)は単純にHSPの子ども時代を指しますが、HSPは治るものではないため、HSCは大人になれば当然HSPになります。
そしてHSPは遺伝的な要素もあることから、HSPから生まれてくる子どもはHSCの可能性が高いといえるでしょう。
HSP(HSC)とアダルトチルドレンの因果関係
「物事をより細かく感じ取り、あらゆることに影響を受けやすい」というHSPの特性は、生まれて間もないころか発現され、無意識に情報を潜在記憶に取り込みやすい。それゆえHSPの子供(=HSC)は、良くも悪くも養育環境から強い影響を受け、より敏感に反映していく。
ハイリー・センシティブ・パーソン – Wikipedia
このHSP特性、つまり非常に繊細な部分は生まれて間もない頃から発言するため、幼少期の多くの時間を過ごす家庭環境が、その後の人格形成において多大な影響を与えることはいうまでもありません。
HSPではない人でも、機能不全家族のもとで育つことで生きづらさを抱えたアダルトチルドレンになることがあります。
機能不全家族とは、片親家庭(欠損家庭)、親がワーカホリック(仕事中毒)、アルコール・ギャンブル依存症、DV、虐待(心理的なものも含む)など、本来あるべき姿から逸脱した状態の家庭を指します。
最近ではそのような悪影響を与える親のことを毒親と揶揄することもあります。
そしてHSPはこのアダルトチルドレンになりやすい素質をもっています。
子どもはスポンジみたいなもので、周囲にあるもの全てを吸収しようとします。
そこにHSPの繊細さ・敏感さが増し加わり、悪い家庭環境で育つと、その最悪な状況を極限まで身に受けて、アダルトチルドレンになるのです。
HSPでACは深刻
愛着に満ちた安定した養育環境で育てば、より安定した大人に育つが、不安定な養育環境で育つと、ひときわ不安定な人生に苦しむ。
ハイリー・センシティブ・パーソン – Wikipedia
ACの生きづらさ、HSPの生きづらさが二重苦でやってくるわけですから深刻なのは言うまでもありません。
ではそれがどの程度の生きづらさなのか、HSPでACの私が30歳をすぎて特に辛いと思っていることを挙げてみます。
仕事が極めて辛い
生きていくためには働かなければなりませんから、この仕事は避けて通ることができません。
例えば、
この中でも特に社内の人間関係が一番大変です。
ACの現れでもある承認欲求の強さは人の数だけ強くなりますから、職場での愛想笑いで顔がひきつるほどです。
傷つかないための行動が更に自分を傷つける
アダルトチルドレンは承認欲求が強いせいで自分が嫌いな人間から好かれることが往々にしてあります。
その嫌いな人間はたいてい社内の他の人間からも嫌われていることが多く、話しやすい私をターゲットとして選びます。
ACは自分が傷つくことを過度に恐れて、傷つきたくない、誰からも好かれたいという思いから予防線を広範囲に張っています。
誰にでも愛想を振りまき、相手にとって都合の良い人間をずっと演じているとどうなるでしょうか。
気づいたら車内から嫌われている人や変わった人ばかりが自分を取り巻いていることに気づきます。
これは誰のせいでもない、自分が持つ傾向ゆえにこうなっているのです。
望んでいない関係を、強迫観念の如く意図せずして作り上げていっているとでもいいましょうか。
わざわざ付き合う必要のない相手の話に合わせたり、飲み会に誘われ参加を断れなかったりと自分で自分を追い込み、消耗させているのです。
ただそれを自分で望んでやっているのではないところが悲しいところなのです。
幼少期の家庭環境や体験が、異常な承認欲求を生み出し、大人になってもじわじわと影響を及ぼしてくるのがアダルトチルドレンといえるでしょう。
HSPの繊細さで更に自分を追い込む
また、繊細なHSPは周囲にたくさんのアンテナを張り巡らせています。
自分の仕事だけを淡々とこなせば済むところを、同僚や上司のやり取りが気になったり、場合によっては少し離れた他部署の人間にまで感情が及ぶこともあります。
「あの人怒られててかわいそうだな、励ましてあげたいな」
「(上司と同僚が話しているのを見て)自分のことを言われているのかな、なんかミスしただろうか、不安だな」
「さっきの同僚の言い方、なんかひっかかるな、トゲがあったな、ひょっとして自分のことが嫌いなのかな」
「さっき同僚にはああいう風に伝えたけど、もっと別の言い方があったかな、変な風に受け取られていないかな、あとでフォローしないとな」
仕事中はずっとこんな思考パターンが繰り返されているのです。
野球に例えるならHSPは内野も外野も全て守っている状態といっても過言ではないでしょう。
HSPのアダルトチルドレンは、敵を作ることを極度に恐れ、どんな球が飛んできても受け止めなければならない、全てを丸くおさめなければならないと必死になって生きているのです。
他人に気に入られようとして、人によって最善の接し方となるよう順応性を示します。
それを一人や二人じゃありません。職場内のすべての人に行ってしまうのがアダルトチルドレンです。
「十人十色」に笑顔であわせようとするAC、はっきりいって辛すぎです。
親のいいなり、他人に合わせることで心の充足を得てきた背景があるので無理もないでしょう。
休日やプライベートにまで及ぶ辛さ
では、仕事が休みの時はどうでしょうか。
仕事が休みだろうがHSPの繊細さがオフになることはありません。
今の仕事は土日祝日が休みですが、せいぜい平穏な気持ちでいられるのは金曜の夜、飲みに行っている間くらいでしょうか。
土曜に入ると、土日も稼働している顧客の心配をしたりとやはり仕事上の不安がつきまといます。
日曜を迎えれば頭の中はあくる日の仕事のことばかり。笑点のBGMが聞こえようものならこの世の終わりくらいかと思うほどテンションがだださがります。
かといって連休が長ければいいというわけでもなく、休みが長ければ長いほど社会復帰できるのかどうか本気で不安になったり、休み明けのたまったタスクのことを考えて意気消沈してしまうのです。
また、アダルトチルドレンゆえに親との確執が清算できているわけでもなく、事あるごとに親のことが頭に浮かんできます。
親の呪縛から自由になっている人ですら、過去がフラッシュバックして後悔したり罪悪感を抱いたり、完全にクリアになるということはありません。
アダルトチルドレンはHSPの原理「DOES」のうち2つが増幅される
HSPは4つのDOESという性質から成り立っています。
D:処理の深さ
O:刺激を受けやすい
E:感情的反応性・高度な共感性
S:些細な刺激に対する感受性
親からの虐待・機能不全家族をはじめとした「危機感を覚えるような環境・安心できない環境」で育つと、自分を守るために情報を敏感にキャッチし、生まれ持った敏感気質(「DOES」における”O”と”S”)がさらに研ぎ澄まされることになる
ハイリー・センシティブ・パーソン – Wikipedia
アルコール依存症の父の元で育った私は、回避行動、自己防衛に走るということが日常茶飯事でした。
回避や自己防衛というと大げさかもしれませんが、怒鳴る父親やヒステリックに叫ぶ母親から常に目を背け、部屋にひきこもり、イヤホンで音楽を聴いてノイズが入ってこないよう回避をしてきたのです。
そうやって育ってきたHSC(HSPの子ども時代)はやがてアダルトチルドレンという性質までをも帯びたHSPになり、自分で言うのもなんですがツライ人生を送っていくことになるのです。
特にOとSが増幅ですから、「刺激の受けやすさ」と「些細な刺激に対する感受性」です。
常に母親の顔色を伺って育った私は些細な人の顔色の変化に敏感ですし、ちょっとした相手の言葉や行動が思いっきりぐさっと突き刺さるのは、HSPとACの掛け合わせだったのかと思うと納得がいきました。
HSPかつアダルトチルドレンが少しでも穏やかな人生で歩むために
HSP+アダルトチルドレンの不幸に絶望しているだけでは前向きな人生を歩むことはできないでしょう。
自分の持っている性質や置かれている境遇を理解したのであれば、次は行動を起こすべきです。
ではHSPでかつアダルトチルドレンが少しでも穏やかな人生で歩むためにはどうすればいいのでしょうか。
ネックと向き合うのではなく、回避する
「弱点を克服するために努力する」
聞こえはいいかもしれません。
しかし、HSPもアダルトチルドレンも「治る」ようなものではないことから、ネックに向き合おうとすればするほど消耗するだけです。
努力したからといって事態が改善に向かうかといえばそうでもありません。であれば逃げることも大事です。
私の体験談ですが、会社の自分の席の近くにパワハラがひどい他部署の上司がいました。
部下を怒鳴りつけたり激詰めしているのを間近で聞かないといけないのは感受性の強いHSPにとってはかなりのダメージです。
そこで、もう我慢ならない!と席を立ちあがり、そのパワハラ上司から遠く離れた席に替えさせてもらうよう自分の上司に思い切って相談しました。
行動を起こした時は周りの目もあったため気恥ずかしく思いましたが、害悪の塊みたいな人から離れることで大きな悩みの種がひとつ消えたのです。
これは自分の精神衛生を脅かす存在から物理的に距離を取るという、シンプルながらも効果抜群な対策になります。
私がどうやって親元から離れることができたかについては下記の記事をご覧ください。
自虐ネタで笑いを取ろうとしてはいけない
ACは空気を読みすぎたり場を楽しませようとするあまり、自虐ネタで笑いを取ろうとする傾向が強いです。
悲しい、重苦しい空気を嫌い、みんなHAPPYでなければいけないというある種強迫的な気持ちから、場合によっては手段を択ばず突拍子もないことを発言してみたり、常識を欠いたような行動を取ってしまう人もいることでしょう。
そうやって自分を犠牲にしてでも他人の注意をひいたり、受け入れられたいACですが、自虐ネタを重ねるとそのキャラ設定が定着してしまい、からかうのに最適な人間だというレッテルを貼られるかもしれません。
他人から好かれたい、受け入れられたいと願ってやっていた自虐ネタが、気づいたら周囲から馬鹿にされてプライドを傷つけられているのです。
自虐ネタを言えば言うほど自尊心を傷つけ、自己肯定感は薄れていくということを覚えておきましょう。
特に私のような刺激追求型のHSS型HSPやHSE(外向型)にACが加わると自虐にも拍車がかかりますので要注意です。
他人にあわせることをやめる
他人に気に入られたり、認められることで存在意義を見出してきたアダルトチルドレンにとって、他人を気にするなといってもそれは無理な話です。
でも、この先ずっとご機嫌取りの人生を続けていくのもしんどくないですか?
さきほどHSPとアダルトチルドレンの状態を野球の守備に例えました。
できることからコツコツはじめていきましょう。
ご機嫌取り自体をやめるのは難しいでしょうから、まずは守備範囲を縮めていくのです。
まずプライベートでも仕事でも自分が関わらなければならない人と、関わらなくても影響がない人にわけましょう。
交友関係の広さは疲労を促進させるだけです。
関わらなくて済む人とは徐々に距離を取り、その人のことを頭から外しましょう。
そして次は関わらなければならない人に目を向けます。
この中で、特に自分が神経を使っている相手とそうでない人に分類してみましょう。
神経を使う人というのは自分にとって関係値が良好でない可能性があるため、必要最低限の接点にとどめることをおすすめします。
徐々に作り笑顔を減らして、冗談を言うことをやめ、ビジネスライクな付き合いを心がけましょう。
相手にもよりますが、少し「ドライ」だと捉えられるぐらいがアダルトチルドレンにとってはちょうどいいかもしれません。
それはなぜか、アダルトチルドレンに神経を使わせる人間というのは自分のいいなりになるのをよしとする人たちが非常に多いからです。
そういう人を引き寄せるのが得意なACですから、これができるようになってくれば自然と依存体質や変な人も集まってきにくくなるはずです。
神経を使う人間が減れば、次は自分のカラーを出していく番です。
自己主張、自我を出していくことで本来の自分を周りの人にも見てもらえ、疲れない自然な人間関係を築いていくことができるでしょう。
転職もひとつの打開策
アダルトチルドレンの持つ完璧主義や承認欲求の強さ、HSPの繊細で傷つきやすく疲れやすい性質を根本から治すことができないのであれば、強い不安材料となっているものを取り除くことでいくらか軽くしてやることができるでしょう。
仕事がネックになっている人が多いかと思いますので、そのような場合は転職も一つの手です。
新しい職場だと、自分のことを知っている人というのは基本いないでしょうから、今までの自分の殻を脱ぎ捨てて、新しい自分を見せるチャンスでもあります。
場合によってはかなりの勇気がいることかもしれませんが、一握り、一時の勇気でその後中長期的に見て楽になると考えれば、思い切って行動したほうがいいでしょう。
先ほどのパワハラ上司の話ですが、今でも遠くのほうからよく罵声が聞こえることがあります。
その度にあの時勇気を出して本当に良かったなーとしみじみ感じています。
ただ、どこの職場にも変な人やHSPの天敵みたいな人は絶対にいるので、それは覚悟した上で転職に踏み切りましょう。
「前の職場のほうがまだよかった」となると本末転倒です。
アダルトチルドレンやHSPが向いているとされる仕事で、かつ自分が長く続けられそうな職種をまずは探してみましょう。
アダルトチルドレンの適職については下記の記事も参考にしてみてください。
まとめ
私たちは生まれてくる親を選ぶことはできませんし、HSPか非HSPかを生まれる時選択することはできません。
辛い幼少期を過ごさざるを得なかった子どもたちが大きくなり、生きづらさを抱えたまま日々をなんとか乗り切っている人たちがいます。
過去を変えることはできない、そんなことはわかっているんです。
過去のことは払拭したし、前だけ向いていたとしても、この生きづらさは無意識のうちに自分の気質や性格に現れるのです。
HSPやACであることによって、うつ病を発症することもあります。そうなってからでは取り返しがつかなくなることもあります。
HSPでACの私は、このようにブログにして吐き出すことでもどかしさを低減させています。
今の私は精神力を鍛えて真っ向から立ち向かうような歩み方はやめることにしました。
時には闘わないといけないこともあるかもしれませんが、自分の傾向を知った上で逃げながら賢く立ち回るよう心がけています。
そう考えるとHSPやACは昇進がかかっているサラリーマンにはつくづく向いていないなと思ってしまいますね。
深刻に苦しんでいるACやHSPにのブログが届いて少しでも楽になれればいいなと願っています。
コメント
初めまして。記事を読ませていただきました。私も(おそらく)HSPかつACなのですが、全自分が共感してます笑
自分以外にもこういう辛さを抱えている人がいるんだ、と少し安心しました。
私はもうすぐ20歳になり、これから社会に出ていくというところです。過去にはバイトなどで社会に片足を突っ込んでみましたが、その時に「あ、自分には無理だ。」と思い、それ以来働くことや「責任」という言葉にかなり心理的負担を感じています…
ブルさんは30年もの間この辛さを抱えながら生きてこられたと思うと、頭が下がります。
この記事のおかげで少し楽になりました。ありがとうこざいました。
これからのブルさんの人生が良いものとなるよう祈ってます。
Yukiさんはじめまして。コメントありがとうございます!
たとえバイトでも働くことは大変ですよね。完璧主義になりがちなACと環境の変化を恐れるHSPにとって、学生から社会人へと変わる時は相当なストレスでしょう。
幸いといえるかどうかわかりませんが、20歳前にACとHSPの存在を認識できているのは私にはうらやましいです。
私も今30半ばですがYukiさんくらい若い頃に知っていればもっと違う生き方ができたかもしれないと思ってしまいます。
Yukiさんはまだお若いですから、たとえ社会に出て失敗したとしてもいくらでも取り返すことは可能です。
というよりむしろ「失敗は当たり前」くらいの気構えでいたほうが、完璧主義になりがちなACには楽かもしれません。
あまり神経質に「私はACだから…HSPだから…」と意識しすぎると身動きが取れなくなってしまいますからね。
いろいろチャレンジしてみて経験から学ぶことも大事ですよ。
気張りすぎずうまく息抜きをして、「生きづらさ」の中に少しでも楽しさや嬉しさが見いだせるようがんばってください!