こんばんは、ブルです。
今から10年以上も前の話になるのですが、私は美人局(つつもたせ)の被害に遭ったことがあります。
なんでそんなことを今さら?と思う方もいるかもしれません。
今までは美人局の被害だなんて自分にとって人生最大の汚点で、恥ずかしいことだと思っていました。
この時のことを思い出すだけで惨めで、自分はダメな人間だという気持ちになるため、記憶の中から消し去りたい一心でした。
しかしその一方で、恐喝を行った加害者への強い怒りも消えることはありません。
いまさら警察に通報したところで時効なのでどうしようもありません。
かといって自分だけの社会勉強で終わらせておくのはもったいないですし、ブログだからこそ書けることでもあるため、今後被害者が出ないことも願って今回公開することを決めました。
前置きが長くなりましたが早速お話していきます。
私が引っかかった美人局の手口と被害とは?
美人局(つつもたせ)とは、男女が共謀し行う恐喝または詐欺行為である。妻が「かも」になる男性を誘って姦通し、行為の最中または終わった途端に夫が現れて、妻と関係したことに因縁をつけ、法外な金銭を脅し取ることである。また、妻でない女性で同等行為に至った場合でも類推される。
美人局 – Wikipedia
美人局の一般的な事例は皆さんよくご存じですよね。
私の場合先に釈明をしておくと、共謀していた女性には指一本触れていませんし、そういったことを匂わすようなことも一切口に出していません。(言い訳がましく聞こえるかもしれませんが…)
入り口は出会い系サイト
当時私は23歳で、美人局の被害に遭うきっかけとなったのが当時流行っていた出会い系サイトというものでした。
昔スタービーチという無料の出会い系サイトがあったのはご存知でしょうか?
確かそのサイトを使っていたように記憶しています。
真面目な出会いを求めている人が集まっていたというよりは、動機が不純な人が多かったのも事実です。
正直に言いますが私も若さゆえあって、多分に漏れずあわよくばという欲望に満ちた動機で利用していたのは間違いありません。
当時私に彼女はおらず寂しい毎日を送っていたのですが、ちょうど新しい車を買ったんです。
軽自動車から普通車に乗り換えたこともあり、誰かに自慢したかったんでしょう。
どうせなら助手席には女の子を乗せたいと思い、手っ取り早く出会い系サイトを利用したのです。
私から募集をかけたのか、相手の募集に私が乗っかったのかはよく覚えていません。
でもやり取りで一つだけ覚えているのが、「家に一人でいて暇だからおうちで遊ぼう」という女の子からのメッセージにつられて会うことになったのは覚えています。
写メ交換もしたのですが、華奢な感じの若い女の子でした。
しかも一人でいて家にあがって遊べるのかーと、当時の私は一人で舞い上がっていました。
写メも本物、家にもあがれた、でも何かおかしい…
ついに女の子と会う日がやってきました。
女の子の家の近くにコンビニがあって、その駐車場に車をとめて待っていると女の子が迎えに来てくれたんです。
写真と同じ女の子で、とてもかわいらしかったことを覚えています。
私はいきなり家にあがるのも緊張するし、まずは新しくなった車で一緒にドライブにいこうと言って提案したのですが、女の子はしきりに私を自宅に連れて行こうとしました。
内心そっちのほうがうれしかったりもしてドキドキしながら女の子についていったんですね。
で、こんなこといっちゃ悪いんですけどボロボロの古い二階建てのアパートに連れていかれました。
覚えているのは部屋が和室で狭かったことと、マルチーズがケージに入れられて飼われていたこと。(チワワだったかも?)
そして和室に座って女の子と話をするにもどうも様子がおかしいのです。
「何して遊ぶ?」としか聞いてこないんです。
で、恐らくここで私が肉食獣っぷりを発揮して襲い掛かってくることを期待してたんでしょうが、当時の私はド草食でガツガツ男子とは正反対にいた人間だったので、ずっと何をするか決めきれずモジモジしていたわけです。
現れたのはEXILEのATSUSHIさん風の男
すると突然玄関をがちゃっと開けて誰か入ってくるではありませんか。
そこにはピンクのストライプが入ったスーツを着たモヒカン男。
モヒカンといってもモヒカン以外の部分はほぼスキンヘッドに近く、そしてツンツンしてるベッカムみたいなモヒカンではなくモヒカン部分もかなり短い感じの髪形でした。(語彙力のなさすみません…)
それはそうと暴力を絵にかいたような風貌の人だったのですが、意外にその時の私は冷静で、「あ、これがアレか」と妙に納得していました。(当時は美人局という言葉を知らなかったので…)
男はすごい剣幕で怒鳴りつけてくるのかと思いきや、冷静に、そしてじわじわと私を詰めてきました。
「俺の女に手を出してどういうつもりだ?どう落とし前をつけてくれる?」という典型的なセリフを吐くわけです。
なんかもうドラマや映画で聞くありきたりな脅し文句だったので、心の中では逆に笑いがこみあげていました。
あぐらをかいて座る男の前に正座をさせられる私。
「兄ちゃん歳いくつや?」と聞かれたので「23です。」と答えると、「わしは28歳や、ほんならわしのほうが上やから言わせてもらうぞ」と急に偉そうになってヒートアップしたのです。
で、散々落とし前の話をされたあげく、「誠意を見せろ」の一点張りの主張になったのです。
被害額は?
誠意と言われても現金を持ち合わせていなかった私は、お金がないことを伝えました。
そうすると、近くにATMがあるからおろしてこいというのです。
私が逃げられないように私はその男に付き添われながら近所のATMまで一緒にいくことになりました。
女の子の家を出て外に出ると、ボロボロの家のアパート前に作業服姿の茶髪男が立っていてニヤニヤしながらモヒカン男に「どうした?」なんて声をかけていました。
するとモヒカン男、「いや、ちょっとコイツが悪さをして」みたいなことを言ってるんですよ。
なるほど、ここで私が万が一暴れるようなことがあったとしても、外に待機している仲間連中がやってきて私を抑えるつもりだったのだということがわかりました。
何が一番恥ずかしかったって、そのモヒカンピンクスーツ野郎と一緒に並んでATMまで行かなければならなかったことです。
けっこう車通りも多いところを渡らないといけなったんですが、いっそのことそこで車にひかれていれば被害に遭わなかったのになんてあとあと考えちゃいましたね。
で、ATMの前で男は待機し外から店内の私を見張っていました。
ここで私が備え付けの電話とかで通報してもらっていれば事なきを得たのでしょうが、当時の私はそこまで機転がききませんでした。
そして馬鹿正直に私の通帳にあった全財産である11万円をおろしたのです。
お金を受け取ったモヒカン男の驚くべき反応と衝撃発言
私は素直に11万円を男に渡しました。
すると今まで怒りの表情をたたえていたはずが、え?こんなにいいの!?って感じで急ににやけ顔になったんです。
あの時のうれしそうな顔は今でもうっすらと思い出せます。
そしてモヒカン男、驚くべき反応を見せます。
11万円のお札の数を丁寧に数えたあと、「いやあ、こんなにもらってなんか申し訳ないねー」と言わんばかりに、なんとそのうちの1万円を私に返してきたんです。
これには相当驚いたのですが、更にそのあとの衝撃発言に卒倒しそうになりました。
「おお、わりぃな。なんか困ったことがあったらいつでも俺に言えよ。助けてやるから」
と言って、お金を財布にしまい込んではそそくさと逃げるように去っていきました。
その時は解放された安堵感からへたり込んでしまっていたのですが、困った時っていうのはまさに今みたいな時のことをいうんだぞモヒカン!と心の中で叫んでいました。
その後車をとめていたコンビニまでダッシュし、車のナンバーを覚えられないよう急いで逃げました。
そして次のコンビニにとまってプリングルスのポテトチップスを買い、その場で全部食べてしまったことを思い出します。
女の子の反応
この出来事で一番印象に残っているのが、私が恐喝されている時の女の子の反応でした。
モヒカン男とATMに行くと決まり、男の後をついて玄関を出ようとした時に、残された女の子が私の方を見てしきりに「ごめんなさいポーズ」をしていたんです。
「ああ、この女の子はこのモヒカン男にいいように利用されているんだな、無理にこういうことをやらされてるんだな」というのがすごく伝わってきたんです。
女の子にも断れないなにか事情があったのでしょう。
10年以上経った今、悪い男らから離れて幸せに暮らしていることを願うばかりです。
美人局の時給
この一連の出来事は、女の子と顔をあわせてから男にお金を渡すまでわずか1時間程度しか経っていなかったはずです。
つまり、男の時給は10万円。
取り分は男が9万、共謀というか利用されてたっぽい女のことが1万と勝手に推測してます。
きっとこの男はこんなおいしい稼ぎ方はないと味を占めて、今までよりさらに拍車をかけていろんな人をカモにしたでしょう。
早いところ警察に捕まって改心してくれればいいのですが、なかなか難しいでしょうね。
私の場合女性と関係を持ったり触れたりすることはなく、被害も10万円ですみましたが、通常の美人局は行為に及んだあとのケースがほとんどだそうで、女性が未成年だっただの妊娠しただのと虚偽をふりかざして数十万、数百万というお金をだまし取る人さえいるのです。
また、暴力等身体的に危害を加えられることがなかったのも不幸中の幸いです。
まったくもってこの記事を10年前の自分に読ませてやりたかったですね。本当に。
美人局は今でも身近に存在している
この出来事は、まだ私が東京に出てくる前の出来事で地元の田舎に住んでいる頃でした。
こんな田舎でもこんなこと起こるんだと驚いたほどです。
でもそれから10年以上経つ今、出会い系サイトはマッチングアプリやSNSの各サービスへと名を変え、しかも業者数も圧倒的に増えて今私たちの周りに存在しつづけているのです。
それに出会いの窓口がオンラインですから田舎も都会もありません。
美人局の被害は、とかく経験の浅い若者や、真面目な人ほど陥りやすいものかもしれません。
人の自然な欲求につけこんだあげく、人の弱みを握ることができる美人局ですから今後なくなることはないでしょう。
出会いたいのが人の性(さが)。
便利なツールは増えましたが、至る所に仕掛けられている罠にはまらないよう、慎重に賢く行動していきたいものですね。
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