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ホテル事例から学ぶオープニングスタッフのメリット・デメリット

仕事/転職

こんばんは、ブルです。

これは私がホテルのオープニングスタッフの職に就いた時の話です。(※ロビーの写真はイメージです。)

今回は私の経験を元に、オープニングスタッフのメリットデメリットについて見ていきたいと思います。

ホテルマンとしてのオープニングスタッフ経験を書くため限定的と思われるかもしれませんが、飲食店の接客などサービス業であれば共通しているところもあるため、ご覧いただけるとうれしいです。

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オープニングスタッフのデメリット

オープニングスタッフって言葉、響きはいいですよね。

でもオープン=会社として一番注力しているところなわけです。

メリット⇒デメリットの順だとその気にさせておいて水を差す形になってしまいますからね。

なるべく後味がよくなるよう先にデメリットから取り上げていくことにしていきましょう。

現場トップの緊張は最高潮

会社の上役も注目していれば、オープンを心待ちにしているお客さんも着目しているんですよね。

それだけいろんな人から熱い視線を注がれているのですから、当然現場で働いている人間はピリピリしているわけです。

特に現場のトップともなると緊張感はMAX!

オープンが失敗に終わろうものなら降格や左遷、最悪クビということにもなりかねません。

案の定支配人やチーフは研修の時からヒステリックになっていました。

オープニングスタッフというのは、このような温度感が高い状態でのスタートとなることを予想しておき、上司と同じ気構えを持つくらいの覚悟はしておいたほうがいいでしょう。

求人内容の甘い誘惑に騙されやすい

そんな緊張の糸で満ちあふれている現場とはいざ知らず、求人サイトや求人誌で、

「オープニングスタッフ募集!未経験者歓迎!オープンだから周りのみんなと社歴は同じ、上も下もありません。一から丁寧に指導します。」
などという甘い言葉に誘われ、淡い期待を携えてノコノコと応募するわけです。

大体こういうのはテンプレがあってどこも似たような内容が多いですよね。

この文面では現場の緊張感など伝わろうはずがありません。

私もそんなノコノコと応募したうちの一人でした。

期待だけは一人前でしたからね。

ホテルのフロントスタッフというと、びしっと正装して礼儀正しく、紳士淑女なゲストをスマートにエスコートするというかっこいい印象で脳内美化されて、ホテルマンとして働く自分を妄想して酔いしれていただけかもしれません。

いつか芸能人とか泊まりに来るかもしれない!なんて夢ばかり膨らんでいましたね。(実際きましたが)

既存スタッフよりオープニングスタッフの方が忙しい

周りは新人だらけ、おまけに業種未経験となると、当然大変です。

既存のホテルとか、飲食店とかに一人応募して仕事に就くのとはわけが違います。

オープニングの場合、業務を教えられる人が現場の責任者のみになります。

わからないことを聞ける人がごく少数な上に、同期と足並みを揃えなければなりません。

既存スタッフのような、周りはみんな経験者で仕事を教えてくれるような状況はありません。

チームワークの乱れが生じやすい

チームワークがなぜデメリット?重要なのは当たり前じゃないかと思われるかもしれません。

しかし、ここにオープニングスタッフ特有の罠が隠されていたのです。

「 オープンだから周りのみんなと社歴は同じ、上も下もありません。」

採用情報で時折見かけるこの言葉。一見フレンドリーに働けるイメージかもしれませんが、実はこれが問題になることもあるのです。

既存のホテルや飲食店などであれば、当然役職者、もしくは勤務年数が長い人が偉いというのがはっきりしていてわかりやすいのですが、オープニングスタッフの場合は役職もなく勤務年数も同期と同じです。

つまり、同期内では縦の関係ができず、でも年齢は違うもの同士の集まりですから、同期内だけでワークする際など統制が取れず些細なことで衝突が起こったりするのです。

私がいたホテルの場合も、若い人は19歳から上は33歳までとかなり幅広く、まとまりがありませんでした。

ここもトップの人間がしっかりしていれば大丈夫なのでしょうが、オープニングの現場責任者ともなるとキャパオーバーになっていることもしばしばでした。

しかしここさえクリアできれば、オープンという一つの目標をみんなで見据えているため、結束力は強固なものとなるため、一概にデメリットというわけでもありません。

環境の良し悪しは社風に依存する

就職先はホテルメインの会社ではなく、まったくの別事業を行なっていました。

いわゆる税金対策で建てたホテルなのでしょう。

そしてその母体の会社というのがゴリゴリの体育会系。

毎日の朝の体操で動きが悪くてクビ、声が小さいからクビとかざらにあるような会社でした。

野球部じゃないんだからw

そういう気合の入った会社は私的に嫌いじゃないんですけどね。

ただ許せなかったのはスタッフの中でオープンに向けて誰よりも一生懸命に働いていた男の子が、社長の鶴の一声でクビになったこと。

理由も顔が気に入らないとかそんな理不尽なものでした。

結局オープンの日を迎えることも叶わず、本当にかわいそうでした。

しかもクビを告げるのも社長自らではなく支配人に言わせていましたね。

社長が社長なら会社も会社、雇われ支配人も最初は社長の息がかかっていなかったのですが、オープン前にはすっかり染め上げられていました。

東京はこんなクビ切り社長がゴロゴロいるのか、恐ろしや!と思った瞬間でした。

オープニングスタッフのメリット

もちろんデメリットばかりではありません。

オープニングスタッフでないと経験できないようなこともあることでしょう。

特権1 基礎を一から学べる

未経験者歓迎なんていう募集がなされていたため、実際に採用されて集まった初期メンバーは一人を除きみな未経験者。

前職はプログラマーとか土木作業員とか、接客業の片鱗すら感じられない仕事をしていたようなツワモノもいました。

電話対応の際に「〜様」といえず、「〜さん」と言ってみたり、突然吹き出して笑い出したりとホントにこの人たち大丈夫なのか?wって感じでした。

もちろん大丈夫ではないので、支配人がマナー講師の資格を持っていたこともあり、挨拶やお辞儀の角度、敬語の使い方など、ホテルスタッフの礼儀作法を基礎から叩き込まれました。

ホテルスタッフはところによってはアルバイトや契約社員で募集しているところもあるため、若い人でも入りやすいです。

そのため、若いうちに接客対応をしっかり身につけることができれば、あとあと転職の際にも有利に働くでしょう。

特権2 建物や内装が新しい状態で働ける

オープニングスタッフということであれば、建物が新築であったり、建物自体は新築でなくとも内装をリニューアルして中は新築同様といった場合がほとんどですよね。

衛生上良いですし、働く側も気持ちがいいですよね。

オープン前ならではのメリットも見ていきましょう。

特権3 自慢げにルームショーができる

また、ホテルに勤務していると必ずあるのがこのルームショー。

「お部屋見せてくださいなー」って言ってくる方にお部屋の中を案内してあげるものです。

清掃の都合上、オープンしてしまうとなかなか見させてくれないホテルが多いですよね。

お部屋はホームページやパンフレットでご確認くださいみたいな塩対応をされるホテルがほとんどですが、オープン前なら話は別。

私がいたホテルではウェルカム状態でした。

集客しないといけないのですからルームショーは宣伝にもってこいなわけです。

まだ誰も泊ったことのない部屋を特別にお見せできるということで妙に得意げになっていました。

それこそ若い女の子たちがこぞってやってきたらどうしよう!なんてドキドキですよ。

「お嬢さんたち、よかったらルームショーはいかがですか?」

いや違うな。

「お嬢さん、私と一緒にお部屋、ミニイキマセンカ?」

ただの変態みたくなってきました。

そして猛烈な妄想を抱いたまま、私の記念すべきルームショー第1回目の日がやってきました。

ええ、きましたとも。
おばあちゃんがわんさかね。

「ぎゃああああああ!」

おばあちゃんたちが吹っ飛ぶくらいの心の叫びをあげました。

その日はどんよりした暗いシルバーの空だったのを覚えています。

地元の方であろうおばあちゃんがオープン前のホテルに何の用?と思いましたが、つまりこういうことです。

家を離れた子どもや孫がたまに遊びに来るが、家は狭いし汚いしで泊めさせられない。

そしたら近所にできたきれいなホテルに泊まればいいじゃないか!

滞在日数も延びるし孫とわちゃわちゃできてハッピー!っていう家族愛から内覧にいらっしゃるわけです。

初めてがおばあちゃんだからそんな緊張しなくてよかった。次は若い女の子が群れとなって押し寄せるはず!とプラスに受け止めます。

一週間後、今日もまた空色はシルバーだ。

先週のルームショーしるばーが頭をよぎる。

ポジティブ思考に切り替えて、「いや、今日こそは!」

「兄ちゃんよーい、部屋見せてーな」

ん?どっかで聞いた声が。

先週のおばあたん。

「今日も部屋見せてよー。この前はね、友達と一緒だったからよく見れなかったのよ」

「…」

「ご婦人!申し訳ありません。今日の内覧予約は既に埋まってしまいました。」とはいえず丁重にご案内。

おばあちゃんにはやたら好かれるブルでした。

このホテルって、ビジネスホテルではなくて一応シティホテルだったんですよね。

これならまだビジネスホテルのほうがもっと若い子が来てたんじゃないかと。

特権4 部屋の備品決め

ホテルの外観や内装についてはどこかのデザイナーが手がけていたのですが、中に置く細々としたもの、例えば布団の上に敷くフットスローや、ティシュケース、ゴミ箱、テレビ、ドライヤー、館内着、アメニティーグッズ(歯ブラシ、シャンプー等)なんかはスタッフで探して決めて発注しました。

片っ端から候補をあげていき、現物サンプルを取り寄せたり価格交渉したりした後、社内稟議をあげて却下されてまた探しての繰り返し。

私はセンスがあるほうではないですし、そこまでこだわりがあるわけでもないので面倒で仕方ありませんでしたが、こういうのが好きな人にはたまらないかもしれませんね。

自分が選んだものが採用されて喜ばない人は基本いないでしょう。

特権5 周辺地図の作成

フロントでよく尋ねられるのが、「近くに◯◯ありますか?」という質問。

銀行ATMやコンビニ、病院や飲食店など質問されそうなところをピックアップし、「周辺マップ」や「飲食店マップ」を作ったりなんかもしました。

あと、外国人が来た時のために英語マップも作りましたね。

自分がマップに入れた場所やお店に行ってお客様が帰ってこられた時に、「教えてくれたところよかったよ」と言われるのがうれしかったです。

オープン前の営業

がっつり営業というわけではありませんが、観光地を回ってパンフレットをたくさんもらってきたり、逆にホテルのパンフレットを置かせてもらったりして間接的な宣伝を行いました。

近所の飲食店なんかにも挨拶に行くことで、お客さんを相互に送客しWIN-WINの関係を築いていきました。

いつもホテルに缶詰めで研修だったので外に出ることができてかなり息抜きになりましたね。

たぶん私は内勤より外勤の方が向いていんだなとこの時思いました。

館内設備の把握

ホテルスタッフにとって、お客様の命はなによりも優先されるべきものです。

たとえ火事になったとしても、ゲストを一人残らず安全な場所に誘導するまでは避難してはいけないと教えられました。

ホテルスタッフ死亡確率アップ!とうなだれないでください。

そうならないためにも、館内の非常口がどこにあるかや、火事の時や火災報知器が鳴った際の対応をしっかり頭に叩き込まれましたね。

これからオープニングスタッフになろうと思っている方へ

ここまでで挙げたメリットデメリットはあくまで私の主観ですので、人によっては私のメリットがデメリットだったり、その逆もまたあるかもしれません。

今後ホテルに限らず、飲食店などの接客・サービス業でオープニングスタッフの業務に就きたいと考えておられる方もいらっしゃるでしょう。

いくらオープニングスタッフが夢にあふれたキラキラしたものに見えたとしても、いざ就業したらとんでもないところだった、とならないためにできることがあります。

経営母体を把握しておく

それは、経営母体を調べることです。

会社の本体や、展開しているホテル、飲食店、店舗など調べられる範囲で調べてみましょう。

特に、働いている従業員の生の声を聞けるといいですよね。

母体が比較的大きな会社であれば、ネット検索で口コミや評判が出てくるかもしれません。

あとFacebookなどで勤務先にその会社や店舗が入っている人を観察するのもいいかもしれません。

Facebookで勤務先を入れるなんて人はよほど愛社精神の強いお方でしょうから。

勇気のある方は直接Facebook友達になったり、勤務者の友達と友達になって間接的に探りを入れることもできるかもしれません。

もちろんリスクはあるため、自分でやるのではなく、友人にお願いしたりということもできるかもしれません。

ここまでくると探偵の域ですがw

入念な下調べでリスクを回避できることもあるでしょう。

ホテル業界への転職を考えている方へ

結果として私はこのホテルを2年も経たないうちに退職しました。

それは経営母体がブラック会社だったこと、ホテルにもその影響が及んでいたことが大きな理由です。

短い間しか働かないというのであれば、わざわざオープニングスタッフを選んでしんどい思いをする必要もないでしょう。

短いから耐えられるという方もいるかもしれませんが。

逆に長い間働きたい・働く必要があるのであれば、下調べや今後の見通しなども視野に入れた上で慎重に検討されることをおすすめします。

長文お読みいただきありがとうございました。

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繊細さんの自己紹介
ブル

HSS型HSP(スコア114)とアダルトチルドレン。四国の片田舎育ち⇒20代半ばで上京⇒現在30代半ばで家族とともに東京在住。繊細で好奇心旺盛なことから仕事が長続きせず、すでに9回の転職を経て現在10社目。不安の強いHSPが生きやすく、働きやすくするための気づきを発信しています。特に私にとって最大の悩みの種である【仕事】について日々考える。※ブルは雄牛の意。穏やかで力強い雄牛のようになりたい人。Twitterやってますので気軽にフォローしてください!

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